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今月観た映画(2024/7): 前編

  • 執筆者の写真: 凜 志水
    凜 志水
  • 2024年9月19日
  • 読了時間: 4分

7月はたくさん見たので、軽めの感想書いていきますよろしく。


1. 『母性』

U-NEXTにて。湊かなえの原作をちょうど読んだので映画も観てみようということで。

すでに観ていた人からは、高畑淳子の演技が凄まじいと聞いていて、確かにそうだったのだが、どちらかといえばウチは大地真央の方が痺れた。

こういう、つよつよbrightすぎてかえって周りの人間に引け目を感じさせてしまう人の「最強さ」がひしと感じられた。

音楽はコトリンゴさんで、良いなと思っていたら、エンディングテーマのJUJUでガクッときた...

JUJUが嫌いとかではなく、世界観が急に月9みたいになってそこにギャップを感じたよ、ということです。(最後の描き方についても原作と印象がだいぶ違ったナ)



2. 『女王陛下のお気に入り』

プライムビデオで観れる期限が迫っており、急遽鑑賞。

『哀れなるものたち』を観てからランティモス作品を徐々に観ていきたいなぁとは思っていたので。

アン女王のどうしようもなく、でもちゃんと人間なところがなんともよかった。

彼女は病気のこともあって一見鈍そうだが、自分に向けられる愛情の察知は子供並みに優れていて、そこにどうやって愛情を注ぐ(もしくは注いでいるように見せる)かの戦いを見ているのが楽しかった。

コメディ要素がたくさんあるんだけど、何か痛いところがぐにっと踏まれる感覚。

あと、撮影現場の城の重厚美。



3, 4.  『花様年華』/『恋する惑星』

U-NEXTにて。

まず色彩に衝撃。こんな緑の光で綺麗な映像を作ることができるんだ...

ウォン・カーウァイって、綺麗な人を綺麗に撮るにめちゃくちゃ長けていると思うんですけど、解釈一致でしょうか、みなさん。

あと、表情にフォーカスが当たっていて、めっちゃ接写が多いのが印象的。

人間の視点というか、自分がその人物を覗き込んでいる感覚になる。

この肉体的な感覚と、一方で美術や照明のめちゃめちゃ作り込まれた美しさというバランスがすごいと思いました。

『恋する惑星』に出てくる人物、たいていヤバそうな人たちばかりなんだけど、そういうクレイジーさを映像美で中和?してくれるから夢中になれる。



5. 『大人は判ってくれない』

U-NEXTにて。

先日まで「ヌーヴェルヴァーグ」がなんのことかも知らなかったけれど、構わずdebut。

少年たちの立ち振る舞い、コートを着て革鞄をもって街を歩く姿とか、食卓の準備をする姿がめっちゃ大人の所作に見えて、わざとそういう演技指導をしたのかな、と思うほどだった。

現代の「子ども」のイメージが幼すぎるだけかもしれんが。

(そもそもルソーが「子どもを大切に!」というまでは子どもは「小さい大人」だったことからすれば、今の子ども観はそこまで歴史があるわけでもない)

トリュフォーの映画自体も初めてで、他の作品も観てみたいと思うくらい、カメラの切り取り方がかっこいい!と思いました。全シーン、一つ一つに写真作品のような構図美がある。



6. 『Mommy』

U-NEXTにて。めちゃくちゃよかった。

まず色彩の感じがポップなんだけど派手すぎなくて、この絶妙な色味が、辛いけど楽しいこともあるし、楽しい時もあるけど辛い、というこの作品全体のメッセージとバッチリはまっていた。

こういう、全体のイメージや印象が総合的に計算され尽くされた感じ!

これが映画の楽しみ方なんやな。

ストーリーもいい。

メインの登場人物がそれぞれ思い合っているんだけど、現実という一個のフィルターがかかることによってそれぞれの愛情表現が歪んでしまって、互いが互いを本当に理解し合うまでには時間やタイミングが必要になる、というね...

みんなそのままの気持ちでいてほしいけど、今はまだその気持ちが届かないというこの歯痒さに泣けた。



7. 『レディ・バード』

U-NEXTにて。

ポパイの映画特集でチェックした作品。

監督があの『バービー』のグレタ・ガーウィグということで観てみたんだけど、あんまり刺さらなかったかも。

そもそも思春期特有の親への反抗心みたいなものがあんまり共感できず、主人公がすぐ激昂するのが?ハテナ。

あと、アメリカ映画によく出てくる「若者のホームパーティー」、あれめっちゃ怖い。

酒、ドラッグ、セックス!!という3打を喰らわなくてはアメリカでは大人になれないのだろうか...

あんなのに自分がもし行かなくちゃいけないとしたら地獄すぎだろ、とか考えちゃって、作品自体に入り込めなかったのも理由の一つではある。

本国での評価はめちゃ高かったらしくて、たぶん本国あるあるということなんだろう。

特段羨ましいとも思わんかった。



8. 『カルメンという名の女』

U-NEXTにて。

ゴダール作品も初めてみた。既存のフォーマットを壊す、という勢いを強く感じた。

なんか脱構築の思想とか、フリージャズが持っている気概に似たものがある。

セリフは詩的で、話も断片的に紡がれていくんだけれども、ベートーヴェンの楽曲が映画全体を通して使われていて、ストーリーではなく音楽が映画全体の推進力になっているのが面白かった。

他の作品も観てみよう。フランス哲学を理解していないとむずそうだが...



後半に続きます!


 
 
 

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